株式会社オーネット様 様


結婚相談所を運営する株式会社オーネット様は、若年層との新たな接点づくりを重要なテーマの一つとしていました。マッチングアプリの普及などにより、結婚を具体的に考える前の段階で「まず誰かに相談したい」というニーズも広がっています。
そこで同社が着目したのが、実在する婚活アドバイザーの知見とAIを組み合わせた、新しい顧客接点です。こうして誕生したのが、オーネット公式LINE上で利用できるAI婚活アドバイザー「AI石川さん」。同社の統括アドバイザー・石川様をモデルにしたAIキャラクターが、恋愛・婚活の相談をはじめ、ファッション診断、デート準備、チャット添削など、さまざまな相談に応えます。
アカツキAIテクノロジーズは本取り組みにおいて、チャットボットの企画から設計・開発までを一貫して担当しました。従来型の集客モデルが転換点を迎えるなか、なぜ実在のアドバイザーをAI化するという選択に至ったのか。プロジェクトを推進された経営戦略本部の豊後様と園田様に、課題の背景から開発の実態、リリース後の手応えまでを伺いました。
| お客様 | 株式会社オーネット |
|---|---|
| 業種 | 結婚情報サービス |
| 利用サービス | AIキャラクター・AIチャットボット企画・開発 |
| お話しいただいた方 | 株式会社オーネット 経営戦略本部 豊後様(マーケティング・事業開発責任者) 園田 励様(事業プロデューサー) |
| プロジェクト | AI婚活アドバイザー「AI石川さん」 オーネット公式LINE内のAI相談Bot。恋愛・婚活相談、ファッション診断、デート準備、チャット添削などに対応。 |
| 支援体制 | アカツキAIテクノロジーズ:AIサービスの企画・設計・開発 オーネット様:サービス企画・運用・ユーザー接点 |
| 課題 | 従来型の集客モデルが転換点を迎えるなか、20代を中心とした若年層との接点づくりと、「まず相談したい」という潜在層のニーズに応える新たな顧客接点の構築。 |
| ソリューション | 実在の婚活アドバイザーの知見を活用した「AI石川さん」を企画・開発。本人らしさ・専門性・安全性・エンタメ性を考慮した応答設計に加え、AIガードレールやテスト計画を設計・実装。 |
| 結果 | 相談内容の約8割が恋愛相談となり、従来の結婚相談を目的とした施策では捉えにくかったニーズを確認。実在する専門家をモデルにしたAIとの対話が、新たな顧客接点となる可能性を実証。 |
目次
オーネット様の集客は長年、「結婚チャンステスト」を軸に組み立てられてきました。広告から診断テストを実施した見込みユーザーへコールセンターが電話をかけ、面談へとつなげる。この確立されたモデルが、転換点を迎えていたといいます。
豊後様: 広告に対する効果が年々、月を追うごとに下がり、集客単価も上がり続けていました。このモデルを今後も続けていくのは難しいのではないか、という問題意識がまずありました。実際に調査を行うと、20代からの商品理解度が競合他社と比べて20ポイントほど低く、認知度も落ちている。取らなければいけない層に対する課題が大きくなっていたんです。
女性は20代からの入会も多く、20代はオーネット様にとって落とせない層です。一方で、その世代とのコミュニケーションの主戦場であるSNSやオーガニックコンテンツには、これまで十分に注力できていませんでした。
そこで同社はLINEを軸としたコミュニケーション強化に舵を切り、強みである「アドバイザー」の存在を打ち出すため、統括アドバイザーの石川様に焦点を当てた施策を展開しました。石川様が出演するYouTube番組への反響も追い風となり、「石川さんに直接アドバイスを受けたい」という声に応える形で、AI石川さんの構想が生まれました。
市場環境の変化も、この構想を後押ししていました。
園田様: マッチングアプリに気疲れして離脱する人が増えているのに、その人たちの行き場がない状態が続いています。かといって、いきなり「今すぐ結婚しよう」とはならない。まずは相談したい、という温度感なんです。すべての相談を人手で受けていたらパンクしてしまいますが、AIへの相談なら現実的にできるのではないか。増える需要に対してAIがクッションになって悩みが晴れ、本当に結婚に向かおうと思ってもらえるのではないか――そういう思いで企画しました。
「20代を中心とした若年層との接点を増やしたい」という事業上の課題と、「結婚を決断する前に、まず誰かに相談したい」というユーザーのニーズ。その双方に応える新たな接点として、実在するアドバイザーの知見やコミュニケーションをAIによって届ける「AI石川さん」の構想が具体化していきました。
豊後様: きっかけはご紹介でしたが、決め手はコミュニケーションのなかで、私たちの求めるスピード感に応えて安定的にリリースまで伴走してくれそうだ、と感じられたことです。打合せや提案、対話を通じて期待値が醸成されました。
園田様: アカツキAIの経営メンバーにはマーケティング領域への経験値があり、事業やマーケティングへの理解を踏まえて開発を仕切ってくれる、という点にまず安心感がありました。オーネットはマーケティングドリブンな会社で、お客様の反応を見ながらすぐに変えていくことで競合と戦っています。そこについてこられる相手でないと、一緒に開発はできないと思っていました。
園田様は当初、大手の上場SI企業への依頼も検討していたといいます。しかし、「開発するシステムの堅牢性は高くても、企画段階から伴走するケイパビリティは期待しにくい。他社に依頼していたら、おそらく2〜3倍の時間がかかっていた」と振り返ります。
オーネット様は過去に2度、AIチャットの導入を経験していますが、いずれも「チャットボットができた」で終わっていました。今回はプロジェクトの進行中に、AIガードレールの設計やセンシティブなデータの取り扱いについて、アカツキAIが先回りして提案したことが信頼につながったといいます。
園田様: アバターを作るということは、AIが喋った内容がアドバイザーご本人の失礼に当たってはいけない、ということです。AIが勝手に言ったことがSNSで拡散されれば、結局ご本人に返ってきてしまう。そこが一番の不安でした。
園田様: 懸念と裏返しで期待していたのは、応答の精度と、コミュニケーションのエンタメ性でした。ユーザーにとって楽しい体験でなければ使われない―この考えのもと、「AI石川さん」は2つの軸で設計されました。
まずは、話しかけたときに「なるほど」と思える応答品質です。石川さんの書籍などのデータで専門性を入れることで、説得力を増すことを狙いました。
同時に、ライトなユーザーの課題解決とエンタメを両輪で体験してもらうことを考えていました。今すぐ結婚したい人だけが対象ではないので、結婚だけでなく恋愛の相談まで答えてくれたり、服装の診断のように、実際のニーズに寄り添いながら楽しく反応してくれるエンタメ性を期待していました。
開発では、石川様の書籍やヒアリング内容をもとに、専門性だけでなく、本人が使いそうな言葉やコミュニケーションの特徴も整理しました。一方で、AIが不適切な発言をしたり、本人の考えと異なる内容を断定したりしないよう、応答品質を定義する応対シート、テスト計画、AIガードレールを設計しました。

豊後様: 当社の意向をかなり汲んでくれた、というのが率直な印象です。たとえば、ちょうど同じタイミングで結婚アドバイザーのナレッジをまとめた書籍を出していたのですが、その内容をあらかじめAIに読み込ませていたり、石川本人からのヒアリングを通じて本人が言いそうな言い回しを学習したり、といった要望に早い段階から動いていただけました。
園田様: 企画がふわふわした状態から入ってもらい、固めるところから一緒にやってくれたのが非常に助かりました。オーネットの新規事業メンバーは全員時間がない中で、アカツキAIのPMが多様な論点を短時間で汲み取り、「ここだけ決めてください」とボールを明確に投げてくれたので仕事を進めやすかったです。「次の経営会議ではこの論点を決めておいてください」と整理してくれたことも多々ありました。
リスク管理の面でも、アカツキAIは「懸念になりうること」を最初に洗い出すアプローチを取りました。AI石川さんの応答品質を定義する応対シートの作成、テスト計画とAIガードレールの設計、データ保持期間の考慮、API利用料の明示など、人が判断すべき事項をリスト化して引き渡しました。
この進め方について、園田様は「最初に出してもらえたことで、不安をかなり拭えた」と評価しています。
今回のリリースはPoC(概念実証)の位置づけで、厳密なKPIは置いていなかったといいます。それでも、想定を超える発見がありました。
豊後様: YouTube番組との連動で相談してくれる方が多い印象です。特に、相談者の8割ほどが恋愛の相談をしてくれている。これは他の結婚相談を目的としたマーケティング施策ではなかなか得られないインサイトだと思います。
園田様: 検証したかったのは、実在するアドバイザーのAIに対して、ユーザーが本当に深い対話を行うのかという点でした。結果、専門家を模したAIアバターとはユーザーがちゃんと会話することが分かった。AIキャラクターというアプローチ自体の有用性を検証できたので、次の一手が考えられるようになりました。
応答の精度を象徴するエピソードもあります。現在では、石川様ご本人がAI石川さんに相談することもあるといいます。豊後様は、「本当にシャドウ石川のようなものにもなっている」と語ります。
園田様: 新しい開発は、ドメインの情報を開発会社に伝えるところから始まります。そのキャッチアップのスピードと正確性、そしてその会社の文化を感覚的に分かっているかがものすごく大切なんですが、そこが非常に良かった。開発力や研究開発の力があっても、キャッチアップが遅いだけでものづくりは難しくなるが、アカツキAIはキャッチアップ力が素晴らしかったです。一緒にやってみて、強く思いました。
豊後様: 何度かトライはしていたものの、toC領域でAIをどう使うかは会社として解の出ていない重点テーマでしたが、AI石川さんができたからこそ、次の展開をどうするかという議論ができるようになりました。その意味で、非常に良い事例になったと思っています。
豊後様: 今後については言えないことだらけですが(笑)、AIの活用は今後も進めていきます。社内のツールとしてはもちろん、お客様に直接触れていただくtoCの場面でのAI活用には、まだまだ余地があると感じており、たくさん試していくつもりです。
園田様: 恋愛、婚活、そして仕事。この領域は悩みが絶えない領域なのに、すべてを誰かに相談できるわけではありません。だからこそ、相談先がAIになっていく需要はますます高まっていく。そのニーズに応えられるように、AI活用の幅を広げていきたいと思っています。
アカツキAIテクノロジーズは、AIサービスの企画・設計・開発を通じて、企業の新たな顧客接点づくりを支援しています。AIチャット、AIキャラクターをはじめとするAIサービスの企画・設計・開発をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。