株式会社PAPABUBBLE 様


導入事例インタビュー
| お客様 | 株式会社PAPABUBBLE(キャンディの製造・販売/自社店舗・EC・卸売を一貫運営) |
|---|---|
| お話しいただいた方 | 小ヶ口様(取締役・PAPABUBBLE事業本部長/プロジェクト主窓口) |
| プロジェクト | 在庫最適化プロジェクト「ロジプロ」 |
| 支援体制 | データ基盤構築・AI実装(アカツキAIテクノロジーズ)/コンサルティング・PM(Wello株式会社 作増氏 ※アカツキAIテクノロジーズの提携パートナー) |
| 課題 | 在庫データの網羅性が低く、正しい原価が算出できない。理論在庫が出せず、毎月全店で目視による実棚卸を実施。過剰在庫や欠品による機会損失のリスクを抱えていた。 |
| ソリューション | 「モノの流れ・お金の流れ・データの流れ」を可視化して課題を構造化し、AI Readyなデータ基盤(メダリオンアーキテクチャ)を構築。Claude/MCPで在庫データを自然な問いかけによって引き出せる仕組みと、AIチャットを搭載した可視化ダッシュボードを開発。 |
| 結果 | 理論在庫の可視化が進み、実棚卸に依存した業務体制から脱却する見通しに。要件定義のズレによる手戻りは一切なく、今後は需要予測・生産計画・シフト最適化まで展開予定。 |
目次
─ まず、御社の事業と小ヶ口様の役割を教えてください。
小ヶ口様:PAPABUBBLEは、ひとことで言うとキャンディの専門店です。製造から自社店舗での販売、EC、そして卸売まで、すべてを自社で手がける製造小売業です。私は事業本部長として、営業・製造・物流まで事業全体を統括しています。今回のロジプロでは、PAPABUBBLE側のメイン窓口としてプロジェクトに入らせていただきました。

─ プロジェクトに着手する前、どのような課題を抱えていましたか。
一番の課題は、原価がブレることでした。正しい原価が算出できていない。その原因をたどると、やはり在庫です。原材料や資材の受け払いの記録が正しく入っていなかったり、どこかに入力の漏れがあったり。データとして網羅性がないことが、原価がブレる要因になっていました。
─ その課題は、日々の業務にどう影響していましたか。
象徴的なのは棚卸です。理論在庫が出せないので、毎月すべての在庫を目視で数える実棚を続けていました。店長やロジ担当に膨大な工数がかかる。しかも、それだけ工数をかけても精緻なデータが取れないんです。管理会計で見たときに、期初と期末の在庫の数が合わない。原価が大きく上振れたり下振れたりして、何が正しい数字なのかが分からない。そうなると、経営として次の判断ができないんです。
─ 放置していたら、事業にどのようなリスクがありましたか。
一番は過剰在庫です。「ない」と思って仕入れたら実はあった、ということが起きる。それが原価に効いてきます。逆に、本当に売りたいときにモノがない機会損失も生まれる。良いときも悪いときも、正しく評価できないことが最大の課題でした。
─ これまで、社内対応や他社への相談はされていましたか。
スマレジやZAICO、ロジレスといったSaaSは導入していました。ただ、それぞれのツールの中でしか解決しない。会社全体の課題として捉えて全部を連携させようとすると、一部は解決しても、こちらと連動しない。すべてがつながっているので、そこがなかなか難しかった。
社内でも経営企画の担当が統合を試みましたが、膨大なデータを一人で扱うには限界がある。ずっとパソコンの前で作業しているような状態で、結局「見たいときに見たい数字が出てこない」という状況は変わりませんでした。

─ アカツキAIテクノロジーズに相談しようと思われた決め手は。
最初の打ち合わせで、要件定義から提案までをフェーズごとに分けて示してくれました。課題をきちんと分解して、「この課題をクリアしてから次に進む」という進め方がとても分かりやすかった。そこで前向きになれました。
着手にあたっては、まず事業の「モノの流れ」「お金の流れ」、そして両者をつなぐ「データの流れ」を可視化する作業から始めました。どこにモノが動き、どこにデータが動いているのかを図に描き、健康診断のように業務フローを解剖していきます。
そうすることで、本来つながるべきところで断裂が起きている箇所が明らかになります。
ZAICO・ロジレス・スマレジという既存ツールの機能から漏れる領域には属人的な運用が残り、別のスプレッドシートやオペレーションに数字が散在していました。誰がどこで、どのようにデータを触っているのかを一つずつ特定し、「何と何を、どうつなぐか」というシステムの設計図に落とし込んでいきました。
単に既存ツールをつなぐのではなく、AI活用を前提とした基盤設計に踏み込んだ点が今回の特徴です。
クラウドの選定からデータテーブルの持たせ方、情報を流すパイプラインの整備、ETLによるデータの正規化まで、メダリオンアーキテクチャによって層を分けて整備しました。
後からAIチャットに問いを投げた際に、意味のレベルで適切な情報を取得できるよう、最初からAI Readyな状態を見据えて設計しています。さらに、蓄積したデータをClaudeからMCPで接続し、在庫情報を自然な問いかけで引き出せる仕組みや、可視化ダッシュボードにAIチャットを組み込む実装を進めました。今回はまず、これらを支える基盤づくりに徹しました。
─ プロジェクトの進め方について、当初のイメージと実際で違いはありましたか。
これはもう、めちゃくちゃ良かったです。ひとことで言うと「めちゃくちゃやってくれるな」という印象でした。
こういうシステム導入や開発は、社内側にも工数がかかってパワーを使うイメージがあったんです。でも、キャッチアップが早いし、ヒアリングも早い。要件定義もすごく的確で、痒いところに先回りで手が届く。社内で長くやっているがゆえに言語化が難しかった部分を、きちんと言葉とオペレーションに落としてくれました。
チャットで質問すると、すぐに教えてくれて、データも見せてくれる。とにかくやりやすかったですね。
本プロジェクトでは、PAPABUBBLEの本業をいかに邪魔せずに進めるかを重視しました。要件のヒアリングから開発・実装までをアカツキAIチーム側で可能な限り巻き取り、依頼と実行のバランスを取りながら進めました。
─ 特に印象的だった転換点はありましたか。
一番は在庫まわりですね。貯めたデータをもとに、AIツールから在庫情報にMCPでつないで見えるようにできたこと。そこが一番の悩みどころだったので、いろいろなことができるようになったのは大きかったです。
今後はClaudeとSlackをつないで、必要な情報をSlackで追える状態まで見据えていると聞いていて、そこも楽しみです。
この在庫情報のClaude/MCP接続や、後述する可視化ダッシュボードへのAIチャット組み込みは、アカツキAIテクノロジーズが開発・実装を担った部分です。データ基盤の整備と一体で進めたことで、「貯めたデータをすぐに問いかけで引き出せる」状態が実現しつつあります。
─ AI時代ならではの価値を感じた部分はありますか。
可視化ダッシュボードの中にAIチャットを入れてもらっている点は、現場目線でとても便利だと思います。
現場の店長からすれば、「今この店で何が売れているのか」「隣の店では何が一番売れているのか」を本当は知りたい。わざわざデータを見に行かなくても、ぱっと問いを入れれば答えが返ってくる。
小売は勝った負けたが明確な世界なので、自店がどうだったか、他店と比べてどうか、なぜそうなのかまで深掘りして、次の一手を打ち出せる。これは画期的なところだと感じます。

─ 当初の狙いは在庫・原価の可視化でした。現時点での手応えはいかがですか。
ここはまだ一部進行中の部分もありますが、理論在庫が可視化されれば、業務は大きく変わると思っています。次の棚卸で決着しそうな感触です。今月末のオペレーションで、エクセルとマスターの突合も試しながら、アップデートを重ねているところです。
─ チームに対して評価されている点は。
要件定義はこういうプロジェクトでずれやすいものです。いろんな企業やコンサルと組んできましたが、要件がずれたときに、こちら任せにせず自ら修正しにいってくれるか、そこで大きく違う。
お互い認識をすり合わせながら進めてくれたので、最終フェーズで「そもそも要件が違う」という手戻りが一切なかった。これはとてもありがたかったです。
─ 社内の他部署からの反応はいかがですか。
営業部長の目線で言うと、毎日エクセルで店舗・EC・卸すべての売上を集めて、勝った負けたを見続けている。その工数がほぼなくなるのは非常に大きい。
これから見える化が進んで理論棚ができ、会計と突合できれば、最終的な成果が見えてくる。原価の話を越えたところにも価値が広がっていて、期待値は高いです。
─ 今後さらに取り組みたいテーマはありますか。
データが揃ってきたので、次はもっと細かい領域です。たとえば需要予測を立てて、それをもとに生産計画を組む。切り口を変えれば、そこからシフト計画にもつながる。結局どれもコストに紐づいていくので、それらを最適化していけるといいなと思っています。
今回の取り組みで両社が築いたのは、AI Readyなデータ基盤です。可視化やデータ取得がしやすくなったのはもちろん、今後、稼働・分析・レシピ・生産計画といった業務レベルの改善に広げていくことで、全社的なAXまで見えてきます。
─ 似た課題を持つ他社の方へ、一言いただけますか。
製造小売から飲食まで、自社でモノを作って売るビジネスは、どこも同じような課題を抱えていると思います。飲食であれば廃棄ロスの問題も必ず出てくる。原価や在庫を見える化していくことは、どの業態にとっても意味がある。
そのとき、個別にSaaSを入れたり物流コンサルを入れたりするだけだと、やはり網羅性がなくて全体として解決しきれない。今回は全体を通して解決に進めてくれた。そこが一番良かったと感じています。おすすめです。

株式会社アカツキAIテクノロジーズ
AI Transformation(AX)を通じて、大手企業のデータ基盤構築と業務変革を支援しています。